【在庫改革】第22回 在庫層別化
2012年10月6日
在庫改革を実施する前には、在庫状況の把握が必要である。在庫状況を判断する指標として、在庫層別化を行うことをお薦めする。企業によって分類の方法は異なるが、大きな分類として「デッドストック」「過剰在庫」「欠品・品薄」「シーズン在庫」「売切り品」「特注品」等が挙げられる。また、過剰在庫も「3~6カ月超在庫」「6~12カ月超在庫」「1年超在庫」と分ける場合が多い。
在庫層別化の目的は、「在庫状況の見える化」「改善の効果予測」「在庫配置の適正化」がある。在庫金額削減は、毎年の様に経営目標に挙げられるが、在庫金額削減が実現していないのが現状ではないだろうか。在庫金額削減にも難易度がある。例えば卸の場合、2週間分の在庫を1週間分に減らすことは難易度が高い。しかし、1年分の在庫を半年分に減らすのは容易である。どの様な商品が悪いのかを明確にして、非常に悪い商品から取り組んでいけばすぐに効果がでる。いきなり難しいことに取り組んで挫折するよりも、改善の効果を出せば「やれば出来る!」という会社の雰囲気が出てきて難しい問題にも熱心に取り組むことができる。
在庫改革は、今までのやり方の延長線上で進めても効果が薄い。「全社参画のプロジェクト」「プロジェクトでの発注ルール作り&結果検証」「在庫増減による物流コストの仮説検証」等、今までやらなかったことを行わなければいけない。しかし、大きな変革は経営者の承認を受けなければならない。そのためには、在庫の悪い状況、物流コストのロスがどの程度発生しているか、わからなければインパクトが薄い。
図の解説にもある様に、「在庫配置を変える」ことにより物流作業効率も大きな効果が出る。出荷優先の在庫・保管効率優先の在庫を明確にし、物流センターのレイアウトを変えるだけで、作業効率は20%程度向上することも多い。在庫削減によって、外部支払保管費や横持ち運賃が、どの程度削減できるかも予測できる。よって、在庫層別化は物流部門にとっても有益な分析手法と言える。
読者の皆さまの中には、在庫層別化の資料があれば非常に有益であるが、残念ながら無いと言われる方もおられるだろう。しかし、この資料作成はそれほど難しいものではない。自社でシステム部門をもっている企業では、3日程度あれば作成できる。システムを外部で作っている企業は、少々金額がかかっても、その何十倍、何百倍の効果が出るのであれば安いものである。
このコラムは大塚商会様のERPナビにて連載中のコラムを並行掲載しているものです。
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