【物流改革】第7回 物流改革の手順
2012年9月5日
改善活動を実施するには正しい手順が必要だ。まず、問題点が明確になれば、その発生原因をつきとめなければならない。ひとつの問題点に対して、発生原因は複数ある場合が多い。例えば、「実在庫とシステム在庫が違う」という問題点に対して、「誤出荷が発生している」「入荷数が違う」「営業持出しが入力されていない」「棚卸ミス」等など、発生原因がいっぱい出てくる。これらをすべて出してから改善案を作成しなければ、在庫差異は絶対になくならない。しかし、現実は物流現場で「思いついた改善策を実行する」だけになり、いくら頑張っても在庫差異はなくならない。そのうち、「在庫差異が違うのが当たり前で、在庫をあわせようという努力をせずにあきらめてしまう」ということになる。もうこれ以上無いというくらい発生原因をつきとめることがポイントである。
次にその発生原因を改善するための策を立案する。改善策もひとつの問題点に対して複数ある場合が多い。誤出荷を防止する対策として、「ロケーションピッキング」「検品の強化」「ハンディシステムの導入」など等、こちらも複数ある場合がある。この時、それぞれの対策について効果予測をする必要がある。お金がかからない改善であればすぐ実行し問題があれば元に戻せばよいが、お金がかかる改善(物品購入、物流メンバー増員等)は「失敗しました。」ではすまない。よって、改善策を実行した場合に、どの程度の効果があるのか、その根拠は何かを仮説検証をする必要がある。
また改善策を羅列した後に、「全部実行するのか」、もしくは「優先順位をつけて順番に実行するのか」を、「効果の大きさ」「スピード」「実行可能性」などで判断する必要がある。
実施する改善策が決定すれば、具体的な実行計画を立案する。その時の注意点は、「誰が」「いつ」「何を」「どの様に」「どのくらいの時間をかけて」実行するかを細部まで計画立案することだ。実行担当を部署でなく、個人名にすることも重要だ。部署名だと誰かがやってくれるという思いから、期限になっても終了していないということになりかねない。個人名であれば、おのずから真剣に考えざるをえない。また、その準備時間がどのくらいかかるのかも算出しておくことも必要である。作業時間見積が甘く、直前に始めて結局中途半端なところで終ってしまうことも少なくない。難易度が高い改善テーマほど、多くのメンバーが参画する。ひとりだけが課題を遅れさせるだけでも全体のスケジュールが大きく狂うのである。
最後に効果検証をする必要がある。実施した結果、どうだったのか。効果がでなかった場合、改善策を正しく実行しているのかを検証しなければならない。実行していなければ効果がでるはずがない。
このコラムは大塚商会様のERPナビにて連載中のコラムを並行掲載しているものです。
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