【物流改革】第11回 物流改革のコンセプト
2012年9月5日
物流改革と言えば「物流コストの削減」にばかり目が行きがちであるが、本当はそれだけではない。「物流サービスの向上」「物流品質の向上」「物流コストを考慮した収益の把握」「物流戦略の立案」を加えた5つの切り口での検討が必要だ。
第一の切り口は、「物流コストの削減」である。人件費・輸送費・保管費等の無駄な部分を見直す必要がある。やはり、一番に目につくのは人件費だろうか。しかしながら、物流人員を過剰に削除しすぎている会社も少なくない。毎日の人数がぎりぎりの運用になっており、予定以上の受注があるとすぐ出荷トラブルを起こしてしまう。「仮に社員が1人退社すれば、ここの物流センターが止まるのではないか」と思ってしまう。多すぎるのも問題であるが、少なすぎるのも問題である。少しの余剰人員をもった上で、「改善活動」や「緊急性の無い仕事」で余剰分を吸収すれば良い。人件費にしろ、輸送費にしろ本当に無駄な部分を見極める必要がある。具体的な改善プロセスは、第2章以降でお話したい。
次に「物流サービスの向上」である。ここで言う物流サービスとは、特定のお客様が要求する物流サービスではなく、市場が要求する物流サービスととらえて頂きたい。「過剰サービス」を継続していくと物流コストアップにつながり、その増加コストをお客様に転嫁せざるをえなくなる。例えば、「当日出荷の受注締め時間を超えた当日出荷指示」がそれにあたる。13:00受注締めであったものが、16:30に受注があり当日出荷をすることになれば、残業費や運賃増加につながる。これが1年に1回あるかどうかであれば容認できるが、毎日の様に発生しているのであれば、これは物流サービスとは言えない。電車には特急料金があるが、商取引の中では、お客様に追加特急料金を頂くことは難しい。この様に色々な視点で、市場が要求する物流サービスを検討して欲しい。
3番目は「物流品質の向上」である。誤出荷の防止、商品破損の防止、欠品の防止がそれにあたる。しかし、これも「物流コストの削減」とのバランスが非常に難しい。(トレードオフの関係にある)。究極は、ミスゼロであろうが、これがなかなか難しい。一般的な物流であれば、目標設定をしてそれを目指して取り組んで欲しい。
4番目は「物流コストを考慮した収益の把握」である。「得意先別に物流コストを把握して、納品価格が正しいかを検証する」、「商品別に物流コストを把握して、納品価格が正しいかを検証する」。販売価格の設定が間違っていれば、売れば売るほど損をすることになる。
詳細は物流コストモデルの執筆時に解説したい。
5番目の「物流戦略立案」は、次回に解説することにする。
このコラムは大塚商会様のERPナビにて連載中のコラムを並行掲載しているものです。
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