【物流作業改革】第38回 物流作業改革の目的
2013年3月18日
今回から第4章に突入し、「物流作業改革の進め方」に入る。御期待ください。
物流作業改革の目的は、「物流人件費の削減」である。一般的に「物流作業効率の向上」を目標として取り組んでいる企業も多いと思うが、その考え方は少し違う様な気がする。私が考える手順は、「第1段階:不要な作業の撲滅」「第2段階:役割分担の適正化」「第3段階:作業効率の向上」である。詳細は次回以降に解説するが、ここでは概略をおさえておきたい。
まず第1段階は、「不要な作業の撲滅」である。物流現場で働かれている皆様は、「私は不要な仕事はしていない!」と憤慨されるかもしれない。しかし物流現場では、不要な作業が数多く存在しているのである。たとえば、入荷検品は、入荷が正しくないから発生する。出荷二重検品も、出荷検品で間違いが無ければ1回で済む。品薄商品のホワイトボード記入も、品薄商品が少なくなれば負荷が低い。この様に何故この仕事が必要なのか、他のやり方が無いのかを繰り返して考えて欲しい。この発想をすれば全体の仕事時間が短縮されるはずである。
次は第2段階の「役割分担の適正化」である。物流センター内では管理職社員・一般社員・嘱託社員・派遣社員・パート社員がいる。企業としては物流コストを極力抑えたいため、社員の比率が低い会社が多い。社員には、給与の他に福利厚生費、法定福利費、教育費等の企業が支払う費用が加算される。仮に年収300万円(福利厚生費等加算)の社員、年収150万円のパート社員がいて、勤務時間もほぼ同じだとする。この場合、社員の付加価値が無ければ、社員1名よりパート2名を採用する方が企業としては価値が高い。そうすると、社員の存在価値は、パートよりも作業効率が2倍以上であるか、または物流改革の様な全体の最適化を推進していく役割を担わなければならないのである。
最後に「第3段階:作業効率の向上」である。作業効率を考える時に、「作業効率」と「稼働率」の両面をおさえておかなければならない。ここで言う稼働率とは、「(全体の作業時間―休憩時間を除く仕事をしていない作業時間)÷全体の作業時間」である。指示待ちが多いほど稼働率は悪くなるのである。また物流作業では、5つの無駄(待つ無駄、考える無駄、移動する無駄、探す無駄、取る無駄)が発生している。この無駄取りを行うだけでも20%程度の作業効率は上がるのである。
このコラムは大塚商会様のERPナビにて連載中のコラムを並行掲載しているものです。
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